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ポーの話

20091209_ponohanashi2008年9月、新潮社より文庫本で刊行。
いしいしんじ著作。

あまたの橋が架かる町。眠るように流れる泥の川。太古から岸辺に住みつく「うなぎ女」たちを母として、ポーは生まれた。やがて稀代の盗人「メリーゴーランド」と知りあい、夜な夜な悪事を働くようになる。だがある夏、500年ぶりの土砂降りが町を襲い、敵意に荒んだ遠い下流へとポーを押し流す。深く遥かな物語世界。

ポーという少年の物語は、現実世界で有り得るかも・・と単純に思うことはできない。でも、こういう話こそが真実なのかもしれないと思った。目に見えるものが全てじゃないと思うから。聞こえるものも、触れるものも何もかも、たまたまヒトとしての感覚で捉えているだけだろうな、と思うからだ。見ようとすれば見えてくるものや、耳を傾ければ聞こえてくるものもあるだろうし、心に触れるものもあるだろう。ヒトが全く感じられないものもきっとある。世の中には科学で説明できないことなんて、山のようにあると思う。この本を読んでいて「星の王子さま」の話を思い出していた。なんか近いものがあるなぁって感じた。

ポーの成長を綴ったこの話は、冒険風に展開するけれど、輪廻や転生、循環、再生に通じるようなことも感じた。そして、微生物がひそかに毒素を分解するように、気がつかないところで世界の大きな膿や小さな傷を誰かが、もしくは何かが浄化したり癒しているのではないか。使命感など持たず、それこそ無意識のうちに。そんな気もする。紙一重の偶然が折り重なり、奇跡に近い現象が起こるのかもしれない。しかし、偶然と思いたいだけで、実は全てが必然的なことなのかもしれない。また、見えない力のうねりが突き動かすのかもしれない。何が良くて何が悪いなんて、見方次第でどうにでもなる。どう受け止めるか、どう受け入れるか、ということかもしれない。ただ、純粋無垢なほど残酷で罪深かったりもする。抵抗も少なく染まりやすい。でも、誰でもそういう部分を持っていると思う。そして、浄化する力も癒す力も、奥深いところにちゃんとあると思う。そういう心が集まると、凄いパワーが生まれるんだろうなとも思った。

私はポーに出会えるかなあ。
読み終わったときにそう思った。

もしかしたら、心の中にポーはいるのかもしれない。そう、心の中の泥の底に。

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